⑤相続税|寺野善圀がわかりやすく教える相続と遺産

⑤相続税|寺野善圀がわかりやすく教える相続と遺産

相続と遺産⑤相続税|元検事で公証人の弁護士寺野善圀が「相続と遺産」についてわかりやすく説明します。あなたの知らなかった相続や遺産のことが、これさえ読めば十分理解できます。

相続と遺産⑤相続税

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相続税について

 

世間で一番心配なことは税金のことで,相続時の税金を少しでも少額にしようと,財産の一部を少しずつ子らに生前贈与されている方がいるようです。ただ,贈与については現在一人の相手に対して年間110万円を限度として非課税とされ,これを超える分については相続税よりも高率な税率による贈与税が課せられますし,不動産の場合であれば,少しずつ持分を移転するのですが,その都度登記費用がかかります。

 

遺産の額や生前贈与した場合に掛かる経費などを試算するなどし,あるいは税理士などの専門家に相談するなどして検討するようにして下さい。なお,遺言による遺贈も死因贈与契約も被相続人の死を原因とする財産の移転ですので相続税の対象です。

 

贈与税に比べ相続税は,控除額も多く,税率も低く設定されています。平成27年1月1日,相続税法が改正されて,現在は,基礎控除3000万円と相続人の数×600万円を加えた額が控除されます。

 

例えば相続人が配偶者と2人の子だとすると,控除額は4800万円ということになります。控除額を超えた額に相続税が課税されますが、この場合控除額を超えた額を法定相続したとして,それぞれの相続人の税額を算出し、その合計額が相続税の総額となり,それを各相続人が実際に相続した額で按分するのです。

 

遺言などによって法定相続分と異なる遺産分割をしたとしても、税額それ自体が変わることはありません。また配偶者については,遺産の2分の1あるいは1億6000万円のどちらか多い額までは相続税は課せられないことになっています。


相続税の控除額について

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例えば,被相続人の推定相続人が配偶者と子供二人で,遺産が1億円だとして法定相続分どおりに相続したとしますと,基礎控除額は,4800万円となり,これを超えた5200万円を法定相続したとして税額を計算します。この場合配偶者が2600万円,子供がそれぞれ1300万円相続したものとして,一応配偶者の税額は,1000万円超3000万円以下の税率である15%,控除額50万円が適用され,税額は,340万円となり,子供の税額は,やはりそれぞれ税率15%,控除額50万円で計算すると,それぞれ145万円で,合計すると630万円となります。しかし,配偶者については2分の1又は1億6000万円までは非課税となっていますので,子供の税額145万円×2の290万円が実際の相続税額になるのです。仮に配偶者が全部相続したとすると2分の1以上相続したことになりますが,配偶者控除の1億6000万円は超えていませんので結局相続税は全額控除されることになります。

 

なお,相続税の税率は,法定相続人の取得金額が
1000万円以下のときは,税率が10%で控除額0円
1000万円超3000万円以下のときは,税率が15%で控除額50万円
3000万円超5000万円以下のときは,税率が20%で控除額200万円
5000万円超1億円以下のときは,税率が30%で控除額700万円
1億円超2億円以下のときは,税率40%で控除額1700万円
2億円超3億円以下のときは,税率45%で控除額2700万円
3億円超6億円以下のときは,税率50%で控除額4200万円
6億円超のときは,税率55%で控除額7200万円
となっています。

 

なお,生命保険金は,遺産ではなく受取人固有の権利とされていますが,相続税法上では500万円×相続人の数の金額を控除した残余金額が相続税の対象に計上されます。

 

また,養子縁組をした養子がいる人の場合で,他に子供がいない場合は,控除対象の相続人としては,2名まで認められていますが,子供がいる人の場合は,養子が2名以上いても控除対象は1名だけです。

 

なお,相続税については,前述のとおりですが,念のため贈与税についても触れておきますと,贈与額から年間控除額である110万円を控除した残額が

 

200万円以下のときは,税率が10%で控除額0円
200万円超300万円以下のときは,税率が15%で控除額10万円
300万円超400万円以下のときは,税率が20%で控除額25万円
400万円超600万円以下のときは,税率が30%で控除額65万円
600万円超1000万円以下のときは,税率が40%で控除額125万円
1000万円超1500万円以下のときは,税率が45%で控除額175万円
1500万円超3000万円以下のときは,税率が50%で控除額250万円
3000万円超4500万円以下のときは,税率が55%で控除額400万円
4500万円超のときは,やはり税率が55%で控除額400万円

 

となっております。ただ20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税は,贈与額が

 

200万円以下のときは,税率が10%で控除額0円
200万円超400万円以下のときは,税率が15%で控除額10万円
400万円超600万円以下のときは,税率が20%で控除額30万円
600万円超1000万円以下のときは,税率が30%で控除額90万円
1000万円超1500万円以下のときは,税率が40%で控除額190万円
1500万円超3000万円以下のときは,税率が45%で控除額265万円
3000万円超4500万円以下のときは,税率が50%で控除額415万円
4500万円超のときは,税率が55%で控除額640万円

 

となっています。

 

また,子や孫の結婚資金として贈与する場合は,300万円,養育費などの場合は,1000万円まで非課税とされるようになりましたが,この場合は,子や孫の名義の預金口座に入金し,被相続人死亡時に残があると,その残額は相続財産に加算されます。


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