相続と遺産②相続人|元検事で公証人の弁護士寺野善圀が「相続と遺産」についてわかりやすく説明します。あなたの知らなかった相続や遺産のことが、これさえ読めば十分理解できます。
相続に関していろいろ直接苦労した体験があるとか,ご自身の経験ではなくても友人等から遺産相続の話し合いで苦労したことがあるという話を聞かされたり,人の噂などで「あそこの家族は遺産相続で何年も揉めていた。」といった話を聞いたりしたことがあると思います。
第二次世界大戦の終戦直後までは,あまり相続問題はなかったと言っても過言ではありません。
旧民法時代は家督相続という制度で,相続人が一人に決められていたからです。
すなわち家督相続制の場合,通常は亡くなった方の長男が遺産の全部を相続することとされ,他の親族は相続権を認められていなかったからです。
しかし,新民法になって家督相続制が廃止され,法定相続制が採用され,長男だけではなく他の子供にも相続権が認められるなど,誰が相続人となるか,またそのときの相続分(相続する割合)をどうするかを法律によって定められました。
これが法定相続です。
今でも長男だから全部相続するとか,他の兄弟姉妹よりも多くの遺産を相続するのが当たり前だと言っている人がいますが,これは間違いです。
また次男は他家に養子に入ったから実家の相続権はないとか,女姉妹は他家に嫁いだから実家の相続権はないなどと言う人がいますが,これも間違いです。